この記事では、カメラ/オーディオ機器(マイク・レコーダー)/貴金属など、様々なものを湿気から守るために使える密閉ドライボックス+乾燥剤の使い方についてまとめています。
【おすすめの手動の防湿庫】パッキン付き収納ボックスで湿気対策

カビの発生しやすい条件
- 湿度60%以上(80〜90%でほとんどのカビが活性化)←60%以下に保つと発生しにくい
- 繁殖しやすい温度20〜30度←氷点下では発生しない、50度以上から死滅しやすくなる
- 栄養分(有機物、皮脂、汚れ、ホコリ、食べ物など)
これらの条件が揃うと発芽、繁殖します。
氷点下で繁殖はしないものの、既にカビが混入しているものが凍った場合には中で生息している
カビ・酵母・細菌の生育可能な最低湿度
微生物の生育可能な最低Aw 水分活性(Aw)=Water Activity | Aw | |
細菌 | 緑膿菌、床ずれの原因菌 (Pseudomonas aeruginosa) | 0.97 |
大腸菌 (Escherichia coli) | 0.95 | |
枯草菌、納豆菌の仲間 (Bacillus subtilis) | 0.95 | |
黄色ブドウ球菌 (Staphylococcus aureus) | 0.86 | |
酵母 | カンジダ、カンジダ症の原因菌 (Candida albicans) | 0.94 |
アルコール発酵酵母 (Saccharomyces cerevisiae) | 0.89 | |
耐浸透圧性酵母、醤油の熟成酵母 (Saccharomyces rouxii) | 0.61 | |
カビ | ケカビ、アミロ菌 (Mucor rouxii) | 0.93 |
クモノスカビ (Rhizopus nigricans) | 0.94 | |
青カビ (Penicillium citrinum) | 0.83 | |
黒麹カビ (Aspergillus niger) | 0.88 | |
乾性カビ、好乾菌 (Aspergillus repens) | 0.65 | |
乾性カビ、好乾菌 (Aspergillus ruber) | 0.65 |
カビの種類によりますが、文部科学省の『カビ 基礎編』によるとカビが発生しやすい相対湿度は65%以上です。
そのため、基本的にはドライボックスや防湿庫の中の相対湿度を60%以下に保つとカビの発芽を防ぐとされています。
通常では対象とする物質のAwを0.6以下に保持するとカビは全く生育できない。これを維持するために環境の相対湿度を温度変化に拘わらず常に60パーセント以下に保つことが必要である。
出典:文部科学省-2.カビの生理生態と生育環境
- 温度が高い空気ほど水蒸気を多く保有でき、温度が低い空気ほど水蒸気を保有できなくなる
- 温度が高い空気は上に、低い空気は下に溜まるため室内の空間であっても温度・湿度ともに差がある
- 湿度の高い空気は密度が小さく上に上がる、一方で結露は温度の低い下から起きやすい
カビが活動しやすい温度
出典:高松塚古墳壁画劣化原因調査検討会(第6回)
カビの繁殖しやすい温度は20〜30度と言われていますが、氷点下を除き20度以下でも発芽します。
温度のみでカビの繁殖を防ぐことは難しいため湿度の調整が必要です。
カビ予防には湿度60%以下が望ましい
※ただし、温度によって空気に含める水蒸気量が変わるためエアコンの風や窓際など設置場所に気をつけましょう

2〜5℃の冷蔵庫で消費期限切れのチーズがカビてたのよ!

他に移るから掃除しようね♪
また、急激な温度変化の影響によって「結露」が生じるとその場所の湿度が上がるためカビやサビが発生しやすくなるので注意が必要です。

冬に息が外気で冷やされてメガネが曇るのと同じ!
ドライボックス・防湿庫は家の中のどこに置けばいい?
ドライボックスや防湿庫であっても季節、天候、冷暖房による温度変化の影響を受けます。
また、容器の外にカビすると内部へ侵入しやすくなるので容器自体の置き場所にも気をつけましょう。できるだけカビの繁殖しやすい場所を避けて置くことが望ましいです。
室内でカビが繁殖しやすい具体的な場所
- 水回り:台所/お風呂場•シャワールーム/洗面所/洗濯機/トイレ
- 窓ぎわ/壁
- 冷蔵庫・冷凍庫
- 下駄箱
- クローゼット•タンス/キャビネット•棚/押入れ/家具の裏側/床下収納
- エアコン/空気清浄機/加湿器 など
▲これらの周辺は多湿/通気性が悪く空気がこもりやすい/結露しやすい/汚れ・ホコリ・皮脂・食べカスなどカビの栄養分が豊富/など、カビの好む場所です。
これらを整理すると以下の項目が望ましい設置位置となります。
- 水回りでない場所
- 風通しがいい場所
- 窓ぎわでない場所
- 冷蔵庫やエアコンなどの至近距離でない場所
- 直射日光が当たる場所←カビは発生しにくいものの、収納した品が高温によって破損する恐れがあるため

常用してマメに掃除してるとカビにくいけどサビがねぇ!

シリカゲル、振りかけると〜♪

サビ違いだね❣️シリカゲル、振りかけると〜♬

サビ(金属腐食)が起きやすい湿度
急に温暖多湿な気団がやってくると冷えきっていた金属表面に温暖多湿な空気が触れて結露するようになり,この場合にもサビが発生する.もちろん気温が低下しても,湿度が低いときには結露は起こりにくい.それゆえ結露を生じやすいある一定の湿度があるだろうということが考えられる.
図1は だいたい湿度70%以上になると,ある一定の結露が生じ,そのために金属(鉄)の腐食が増大することを表わしたものである. ただし試料金属を取りかこむふん囲気がきわめて清浄な場合には,結露が生じにくい. なぜならば結露が生ずるためには,水滴の中心になる何らかの核が必要だからである.
出典:金属腐食に対する気象の影響について
グラフを参照すると湿度50%を超えると傾きが強まり、湿度70%を超えると急激に跳ね上がっています。
出典先の資料によると湿度50%時は湿度30%の約1.6倍、湿度70%時は湿度30%の約4.4倍の腐食量となっており、サビ予防の視点では湿度50%以下が望ましいことが伺えます。
サビ予防には湿度30〜40%(または腐食量が緩やかな50%まで)が望ましい

カビもサビも湿気が大敵なんだね?

だからこそ!
シリカゲル、振りかけるのよ❣️
※シリカゲルは約99%二酸化ケイ素からできているので毒性はないですが食べれません。

誤って口にして具合が悪くなったときはお医者さんに相談して適切な対応を伺ってください
【ドライボックス】Amazonの売れ筋(ナカバヤシ/HAKUBA)
品名 | ナカバヤシ キャパティドライボックス DB-8L | ナカバヤシ キャパティドライボックス DB-11L | ナカバヤシ キャパティドライボックス DB-S1 | ナカバヤシ キャパティドライボックス DB-27L | HAKUBA ドライボックス NEO 5.5L | HAKUBA ドライボックス NEO 9.5L | HAKUBA ドライボックス NEO 15L |
商品 | | | | | | | |
外寸 (約) | W21.2×D33.4×H20.5㎝ | W30.6×D48.6×H13.8㎝ | W25×D44×H29㎝ | W30.6×D48.6×H27㎝ | W22×D33×H13.5㎝ | W22×D33×H23㎝ | W24×D47×H23.5㎝ |
内寸 (約) | W15.5×D26×H17㎝ ※付属トレイ設置時の トレイから底までの高さは (内寸の高さ-約5㎝)目安 | W25.1×D40.3×H10㎝ | W20×D38×H26㎝ | W25×D41×H23.5㎝ | W17.5×D25×H10.5㎝ | W17.5×D25×H20㎝ | W17.5×D39×H19.5㎝ |
備考 | 取扱説明書によると 付属の湿度計は 10%程度の誤差が 生じる可能性あり | 幅×奥行きが 同サイズの DB-L27と 重ね置き可能 | ー | 幅×奥行きが 同サイズの DB-L11と 重ね置き可能 | 湿度計は付属していない 機密性の高さに定評 | ◀︎左に同じ | ◀︎左に同じ |
▲サイズ&重量:H8×W2.51×D0.51㎝/80g
【カビ・サビ予防】密閉収納ボックス+乾燥剤シリカゲルの使い方
使い方は、簡単!ドライボックスに乾燥剤(シリカゲル)を入れるだけ▼

上の画像の器に入っている白と青の粒が『なんでも除湿シリカゲル』になります。
このシリカゲルは湿気を吸える状態は青色、湿気を吸う余裕がない状態はピンク色に変化するので状態を把握しやすく使いやすいです。
コスパが良いのは「なんでも除湿シリカゲル(1kg)」ですが、1kgタイプは小分けにされていないので自分で小分けにしたり計量する必要があります。
袋で小分けされていないシリカゲルを使用する時は、お茶パック(ティーバッグ)を使用すると小分けにすることも可能です。お茶パックは100円均一でも置いていたりするので興味のある方は覗いてみてください。
また、シリカゲルだけでなくタンスの防虫剤などをお茶パックに入れて衣服と一緒にハンガーに吊るすこともできるので便利です。
シリカゲルの再生・再利用方法
シリカゲルは吸い取った水分を乾燥させると再利用できます。
吸収した水分を飛ばす方法は、レンジでチンやフライパンで煎るなどが挙げられますがレンジでチンが最も簡単です。
再利用時に小分けパックのシリカゲルをそのまま温めると、シリカゲルから蒸発した水分が袋に付着して濡れます。
袋がビチョビチョになると、その水分をシリカゲルが再び吸う悪循環が生じるため、再利用する時は小分けパックのものでも袋から出して温めた方が使いやすいです。
器に移して温めた場合にも器の内側やシリカゲル自体に水分が付着するので棒でかき回したり、キッチンペーパーなどで粗方拭き取ってください。

温めた器は熱いので器を移し替えてドライボックスに入れています。
シリカゲルは何年使える⁉︎
繰り返し使えるタイプの乾燥剤の使用期限は半永久的とされていますが、再利用のために熱を加えていると焦げたり割れてくるので5年以上ともなると乾燥力にやや衰えを感じます。
7年経った古いシリカゲルを再利用してみよう

上の2つの容器の中のシリカゲルは左の小分けパックに入っていたものです。

購入したときは全部青色だったのですが、ジップ式の袋とはいえ何年も引き出しに入れていると全てピンクになっていました。
これを温めると…▼

三年間使い回した左側もまだ使えますが、焦げによって色が見えづらくなっていますね。
再利用したシリカゲルは何分後に効果があるのか?
結論から言うと『なんでも除湿シリカゲル』は速効性です。

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湿度50%から40%までにかかった時間は約4時間でした。
使用環境▼
- 坂本石灰工業所「なんでも除湿シリカゲル」20g分使用
- ナカバヤシ「ドライボックス(容量8L)」を使用
- 外気温:約30度/外湿度:約60%
- 天候:晴れ
- エアコン:未使用
※使用する乾燥剤の量、ボックスのサイズ、外気温、外湿度、天候によって除湿にかかる時間は異なります。
このドライボックス+なんでも除湿シリカゲルでは、3週間ほどボックス内の湿度を40%前後に保て、60%までであれば約2ヶ月ほど保てます。
蓋を開けると湿気が入り込むためボックス内の湿度が上がるので、シリカゲルに湿気を吸う余裕がなくなっていれば加熱して再利用してください。
また、次に挙げる遅効性の石灰乾燥剤のように再使用できないものの、一袋で半年以上の効果が持続する乾燥剤もあります。
このタイプは長期の保管(半年〜1年弱)に向いています▼
遅効性の石灰乾燥剤『キングドライ』
※ハクバのキングドライの持続時間▶︎約11ヶ月(ドライボックス22L使用時)
こちらの石灰乾燥剤の販売は「ハクバ写真産業株式会社」、製造元は上で挙げたシリカゲル同様の「坂本石灰工業所」です。
特徴としては、使い切りタイプ/効果は遅効性/持続時間は長め(約一年)/使い終わると土壌改良の肥料として使うことができます。
石灰乾燥剤は乾燥剤として再利用できないが肥料として使用できる

速効性・再利用・コストで選ぶならシリカゲル/効果持続時間の長さで選ぶなら石灰乾燥剤。
強力除湿⁉︎コンセント乾燥式 モバイルドライ/東洋リビング製
品名 | 東洋リビング モバイルドライ MD-3 | 東洋リビング モバイルドライ MD-6 |
商品 | | |
サイズ 備考 | W11.6×H3.3×D7.6㎝ 重量:約193g 電圧:AC100〜240V ※乾燥剤の破片が 出ることがありますが 絶対に食べないでください | W15.3×H3.3×D10.3㎝ 重量:約355g 電圧:AC100〜240V ※乾燥剤の破片が 出ることがありますが 絶対に食べないでください |
消費電力 | 平均10W/最大65W | 平均20W/最大65W |
通電時間 (再利用に かかる時間) | 初回:約4時間 2回目以降:約2〜3時間 | 初回:約6時間 2回目以降:約4〜5時間 |
デジタルカメラグランプリ2021-収納アクセサリー部門で金賞を受賞している東洋リビング製のモバイルドライ。
モバイルドライ内の乾燥剤の色がピンク→青になると吸湿性に余裕がある状態です。
使用手順▶︎吸湿性が弱まったら(ピンク色)、コンセントに挿して再利用できる状態まで加熱・乾燥させます。
再利用できる状態(青色)になったら、5分程度本体の熱を冷ましてから密封できるドライボックスに入れて湿度を管理してください。
※湿度が低過ぎると乾燥によって入れたものが劣化しやすくなるので調整が必要です
ジップロックにモバイルドライを入れて間口の開き具合を調整すると丁度いい湿度を保てます。
カメラ保管の口コミ

旅行とか出かけ先で便利だね♪

出かけ先ではシリカゲルをチンできないし、遅効性の石灰乾燥剤だと時間かかるからね♣︎
トレカに強力なモバイルドライは要注意!
特に充電したてのモバイルドライは、吸湿力が強いので、一時的であっても容器内の湿度が10〜30%なるとカードは反りやすいです。
※トレーディングカードなど紙製のカードは、除湿のやり過ぎに要注意
そのため、カード類の保管は、相対湿度を40〜60%の間に保てる自動防湿庫の方が安全性が高いと感じます。
体験談:
ジップ付きの袋に入れたカードやプロモパックを「モバイルドライ」と一緒に収納していたところ、袋の中のカードであっても乾燥によってら山反りになりました。

デリケートな紙製には、モバイルドライは強すぎたね♦︎
ドライボックスにカビ防止剤はいる?いらない?
ドライボックスは手動で管理する必要があるため「気付いたら湿度が跳ね上がっていた!」ということがあります。
また、屋内外の温度差や冷暖房の使用によってもボックス内の湿度が変動しやすくなるので乾燥剤と併用してカビ防止剤を使用しておくと心強いです。
- 「社団法人北里研究所」が開発した有効成分BCA(α-ブロモシンナムアルデヒド/α-Bromocinnamaldehyde)を0.5%以上含ませた製品
- シリカゲル結晶中の成分が常温で気化する
- 効果▶︎カビの発芽防止/強力に繁殖を防ぐ/乾燥性がある
- 効果時間▶︎約1年
- 人体に無害
- 再利用▶︎できない
防湿剤と防カビ剤の違い
- 防湿剤▶︎カビが発芽および繁殖しにくい湿度に保つもの
- 防カビ剤▶︎カビに対して直接作用して繁殖を防ぐ効果があるもの ※カビを死滅させるものではないため、既に付着したカビは手動で駆除する必要があります。
- レンズ・ガラスを好む乾燥性カビ類に効果のある防カビ剤
- 防湿効果なしのため乾燥剤や防湿庫との併用が必要
- 主成分▶︎シメン系化合物/カルバミン酸系化合物
- 効果期間▶︎約1年
- 再利用▶︎できない